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その昔、ピアチェーレにはタリオリーニ君とかいう人がいました。


タリオリーニ君とかいう人は、その日コンビニまで氷を買いに行きました。購入にあたり、お店の金庫から1000円札を一枚を持っていきました。金庫は、レジとは別に管理をしています。レジのお金も、金庫のお金も、日々の計算はわたしがしていて、タリオリーニ君が管理しているのでは決してありません。管理しているのはわたし、です。


戻ってきたタリオリーニ君は、両手にコンビニ袋を提げていました。ひとつは氷ですが、もうひとつはサイズがかなり小さい。なにかと思ったら「ポッキー買ってきました」と言います。「今日はポッキーの日です。」と。


ああ、なるほど。そんな日がありましたね。ポッキーの日


タリオリーニ君は箱を開けて、さっそくみんなに配ります。ポッキーの日ですよー、と。うーぶさんにもはい、と手渡されたので、ありがとうございます。いただきます。とわたしも喜んで素直に受け取りました。


お昼の営業が終わると、タリオリーニ君がレジを開けて、なにやらじゃらじゃら小銭を数えています。
どうしたんですか、と尋ねると、困った顔をして言うんです。「今朝、コンビニでポッキーを買ったときのお金がわからなくなっちゃって」と。わたしは驚きました。「自分のお金で買ったんじゃないんですか。」と聞くと「いえ、氷を買ったので、お釣りをそのまま使っちゃいました。」と言います。バカなんじゃないの、と思いながら「そういうのはご自分のお金で買ってください」と言いました。すると「そうです、そうなんです。もちろんです。だからポッキー分だけお金を戻そうとしたんですけど小銭がなかったので、レジのお金で両替しようと思ったんです。そしたらわからなくなっちゃいました。」と。



。。。。。



ポッキーの日がやってくるたびに、不正なポッキーを喜んで受け取ってしまったあの日の怒りがメラメラと蘇ります。