膝蓋骨脱臼骨折の記録7 <負傷から一夜明けて>

2016年3月23日の24時(つまりは24日の0時)に負傷、救急にて診療後、24日の早朝4時頃に帰宅して睡眠。8時には職場の上司であるノーチェディコッコさんに一報をいれなければと思っていたのが、7時に目が覚めたときにはまだ早いかと思ってやめて、でも次に起きたのは10時過ぎという始末。しまった、と慌てて電話しましたが、ノーチェディコッコさんはいたって親切で、とにかくゆっくり治療に専念してください、と。


この日をどのように過ごしたか、まったく覚えていません。たくさん眠ったのだと思います。あとは母親のタツコさんに連絡をして、翌日の病院までの送り迎えをお願いしました。ちなみにタクシーだと片道3,000円くらいの距離です。


じっとしていれば患部の痛みはほとんどありませんが、足を床についたり、足を上げようとしたりと、わずかでも負荷がかかると耐えられない痛みがありました。松葉杖なしでは1cmも進めません。この「1cmも」というのは大袈裟ではありません。なぜなら、片足だけで前後移動するにはジャンプという方法しかありませんが、このときのわたしは、ジャンプの衝撃で左膝が痛む、という状態でした。それにジャンプでは、センチ単位で望む位置に着地するのは難しいのです。


「松葉杖なしでは1cmも前に進めない」というのは、大変不便です。なぜなら移動中は両手がふさがってしまうからです。顕著な例は料理でしょうか。怪我をしてからも料理は作っていたのですが、その不便さといったらなかったです。冷蔵庫、シンク、調理台、ガスコンロ、配膳台、電子レンジ、炊飯器、への、どれも半径1m内の移動にいちいち松葉杖がいる。そしてさらに面倒なのが、移動した先で松葉杖を置く場所がいる。
松葉杖というのは「置く」ことに大変不向きな道具なのです。壁にまっすぐ立てかけておいたつもりでも、かなり高い確率で倒れてきてしまいます。立てて置くにはよほど慎重に置くか、横滑りが防止できるような突起のある場所に置くかしないといけません。
移動するには松葉杖がいるし、移動した先では松葉杖を置く場所がいるのです。すると「冷蔵庫から食材を取り出してまな板の上に置く」だけで神経を使う。体力も使うし、時間もかかる。当然持てる量も限られているので、何往復もしなければならない。フライパンを振るのにコンロからちょっと身体を離したい、というときでさえ、一度菜ばしを置いて、松葉杖を両脇にセッティングして、数センチうしろにずれて、また松葉杖を置いて、ってしないといけない。


そうして作った料理を食卓まで運ぶのがこれまたひと仕事。なぜなら、そうです。両手がふさがっているからです。特に汁物は苦労します。松葉杖をつきながら味噌汁の入った椀を運ぶ。


想像して哀れんでやってください。