膝蓋骨脱臼骨折の記録8 <階段を降りられないの記>

3月23日深夜24時負傷、救急で搬送され「左膝蓋骨脱臼骨折」と診断。脱臼した膝蓋骨を整復し(元の位置に戻し)、ギプスで膝を固定後、帰宅したのが24日の明け方4時。ぐったりと眠り、翌25日の診察に備えました。


そうして準備万端備えたはいいけれど、すっかり忘れていたのですわたし、階段のことを。明け方4時に苦労して上った3階までの階段を、今度は下りるという難関があったのです。
階段の手前まで来て、帰りたくなりました。もういやだ。だってどうやって下りたらいいかわからないのです。


上ったときのことを書いておくと、松葉杖は二本ともクラゲに持ってもらい、わたしは右手を壁(花園ハイツの階段には手摺りがありません)、左腕をクラゲの肩(なで肩)に回して、片足ジャーンプ、で一段ずつ上りました。体重の半分をクラゲに持ち上げてもらったような格好です。せーの、ジャンプ。どしっ。せーの、ジャンプ。どしっ。と。


それを今度は誰の助けも借りずに、ひとりで下りなければならない。階段の前で途方に暮れました。暮れましたけれど、明けるものです。かなり怖かったですが、松葉杖を使ってどうにか下りることができました。


まず両脇にはさんだ松葉杖を、一段下につきます。その松葉杖に体重を乗せて片足ジャンプで一段降りる、字にするとそれだけですが、このとき、歩くときと同じように松葉杖を握っている手に体重を乗せてはいけません。そうすると重心が前にかかって、頭から転がり落ちる。はずです。大変怖いです。ではどうするかというと、この場合は杖を握っている手ではなく、松葉杖を挟んでいる脇の部分に体重を乗せます。両脇を下から持ち上げられているような感覚で、杖を使うのです。極端に言えば、手は杖から放してしまってもいいのです。全体重を、脇に挟んだ杖の一番上に乗せてしまうことが肝心です。そうすることで、重心が前にかかってしまうのを防げます。そうして一段ずつ、慎重に降りるのです。


このやり方で何度か階段を上り下りしましたが、今ではよく無事だったなと思います。運動神経の良い人なら、ちょちょいのちょいかもしれないですが、わたしは運動神経が悪いのです。よくがんばりました。


とはいっても、これは医師から教えてもらった方法でもないですし、わたし自身大変怖かったのでお勧めはできません。でも手摺りもない階段をひとりで上り下りしようと思ったら、この方法しかありませんでした。


階段の下では母親のタツコさんが心配そうに待っていました。さんきゅータツコ。