膝蓋骨脱臼骨折の記録6 <処置2>

脱臼した膝のお皿を整復する(元の位置に戻す)と、負傷時からずっと30度くらいの角度で曲がったまま、ピクリとでも動かすと痛かった膝が、まっすぐ伸びるようになりました。やたー。伸びたー。それからもう一度レントゲンを撮りましたが、撮影時の痛みも一回目のときより、ずいぶん緩和されました。


次は患部を固定します。


ベッドに寝ていたので材料を見ることができなかったのですが、左足の下、太腿のつけ根すぐ下から足先まで、ジェル状の感触のものを敷かれました。肌に触れたときにちょっと熱かったような、冷たかったような。それが数分後にはカッチンコッチンの板になって、温度も感じなくなりました。足の下に敷かれたその板は、そのまま足ごと包帯でぐるぐると巻かれました。このようにして、わたしの左足はまっすぐなままの状態で固定されたのです。


お医者さんは言いました。救急なので今日はこれで帰ってもらいますが、もっとしっかりとした装具をつけたいので、また病院まで来られますか?と。わたしは自宅と病院の距離もわかっていなかったのですが、自分で通えるのかどうかわからないままに、「わかりました」と答えました。たぶん大丈夫だろうと安易に考えていたのです。母親のタツコさんが助けてくれるだろうと思っていたのです。(そして助けてくれました。が、のちにぶつぶつ文句を言われました。)


松葉杖が用意され、「お大事に」と見送られました。使い方の説明があるかなと思ったのですが、なかったので、なるほど、これはかつて自分が目にしたことのあるように使ってみればいいのだな、と思い、記憶の映像を頼りに使ってみたら問題なく前進できましたので、これでいいのだなと納得しました。


しかし、やはり松葉杖には使い方があります。それは説明をするべき使い方です。のちのちそのことがわかって、腹が立ちました。それまで誤った方法で使い続けていたのです。説明しろ。んにゃろめ。


夜中に呼び出された不運なお医者さんは、口数も多くなく、わたしへの指示や指導も何もなかったのですが、最後に「足をつかないでくださいね」とだけ言い、「それだけは絶対にやめてね」という口調に聞こえたので、わたしは足を床につけないことを固く心に誓いました。ちなみに左足はカッチンコッチンになった板が踵を曲がって足裏まであるので、靴は履けず、片っぽはクラゲに持たせました。


タクシーを呼んで、自宅に着いたのは午前4時半頃だったかな。エレベーターのない花園ハイツの階段を上るのがこの日最後の難関でした。


ヘトヘトですので、ひとまず、おやすみなさい。