フンデルトエルフ


あれはいつのことだったでしょう。「ベートーヴェンピアノソナタ全32曲を弾けるようになりたい」と思ったのは。


胸が震える瞬間というのは唐突に訪れるものです。衝撃はそのままの大きさでずっと続くことはないけれど、ひとたび経験したならばすっかり忘れてしまうこともまた難しいです。


ベートーヴェンの音楽を聴いて、胸が震えた瞬間というのは確かにあります。今でももちろんあります。聴くたびにそれは幾度となく訪れるけれど、最初の衝撃がいつだったのか、どの曲だったのか、覚えていません。もしかすると衝撃を食らったために「ソナタを全曲弾けるようになりたい」と思ったのではなく、全曲弾けるようになるためにたくさん聴いているうちに最初の衝撃がやってきたのかもしれません。


とにもかくにもわたしは「ベートーヴェンピアノソナタ全32曲を弾けるようになりたい」という目標をずいぶん長いこと捨てませんでした。ピアノがない生活をしている間もずっとありました。


やっと、本当にやっとですが、一歩だけ前に進みました。



電子ピアノです。ヤマハクラビノーバという製品。



テレビと並べて部屋はこのようなレイアウトになりました。


実物大の参考にはこちら。



そして自慢のピアノカバー。



めっちゃかわいいのを見つけてきた。素敵すぎる。と思っている。



ね。素敵でしょ。




さてさて、アライグマが仲間を紹介したらいつもしていることがあります。「命名」です。この冒険を読んで、ひとつひとつ驚くほどに覚えてくれているキミも、到底覚えきれるかそんなものと思っているキミも、そういえば自分の名前がちっとも出てこないと待ちわびているキミも、いつも読んでくれてありがとうございます。


ちょっと長いけれどタイトル通り「フンデルトエルフ」。これがわたしの電子ピアノの名前です。


フンデルトエルフ。ドイツ語で数字の「111」。クラシック曲には作曲家ごとに作品番号がついているのですが、ベートーヴェンピアノソナタ第32番の作品番号がこの「111」。


冒険はまだ始まったばかり。