「病気」


病気は、言い訳になることがあります。


森のレストランで働いていたときに、わたしは腰を痛めました。急に始めた重労働で、毎日毎日からだのあちこちが痛かったから、腰が痛くなったときも仕方がないと思っていました。そしたらある日、朝起きて布団から出ようとしたら立てなかったんです。痛くて痛くて立てなくて、なんだこれは、わたしはいったい何をしたんだと、不安な気持ちでいっぱいになりました。どうにかこうにか立ち上がって、でも足を一歩前に踏み出すのもやっとの状態で、これはだめだ。わたしは病院に行かなくちゃいけないんだ、と思いました。


それですぐ病院に行きました。検査したら、椎間板ヘルニアという診断でした。かなり重症だよって言われました。


それからすぐに、というわけではなかったけれど、あまり時を経ずして森のレストランを辞め、サービスという仕事も諦めて、今のレセプションという仕事を5年半くらい続けています。


今の仕事は好きです。好きだけど、サービスも続けてみたかったなって思うときもあります。きちんとしたリハビリと、日々のトレーニングで、サービスに耐えうる身体をつくることは長期的には可能だったのかもしれないし、今からでもできるのかもしれません。でもわたし、「もういやだ」と思ったんです。一生懸命働いて働いて身体を壊すの、いやだって。すごく働いて、がんばって働いて、でも身体を壊したら、返ってきたのは「身体を壊した」という事実だけでした。少なくともそのときはそうでした。


腰の痛みを理由にサービスを諦めたのは、言い訳だと思うこともできるし、正しい選択だったと思うこともできます。


ただし、選んだことには言い訳せずにやっていきます。