東京2020大会エンブレム


オリンピックが閉会しましたね。毎夜、毎朝、アスリートたちの勇姿に元気と感動をもらい、家でぐうたらしているアライグマです。こんにちは。やはり人には向き不向きがありますし、突如やる気を出したところで痛い目を見るのが落ちです。マイペースがいちばん。


閉会式では、次のオリンピック開催都市東京がアピールする時間がありました。ステージ上でたくさんの四角い箱が、だんだんに中央に寄ってきて、ある模様を作りだすという場面があって、アナウンサーが「これはもしや、あの形ですね!」と、さも誰もが知っている、という言い方をするものの、わたしにはちっともわからない。なんだこれ。ごちゃごちゃまるい。


きけば、東京オリンピックのエンブレムだそうで。


決まっていたエンブレムが取り消されてしまった、というところまでは知っていたのです。が、その後どうなったかは気にすることのないままでしたね。閉会式のこのパフォーマンスをきっかけに、そういえば、という感じです。今さら検索して、新エンブレムを拝見いたしました。


「組市松紋(くみいちまつもん)」というタイトルの、応募総数14,599点の中から選ばれこのエンブレムは、制作者のお名前が「野老 朝雄(ところ あさお)」さん。


「野老」と書いて「ところ」と読む。


なにそれ。読めない。これは誤字なのでは?と疑ったくらいでしたが、「野老」と書いて「ところ」さんだそうです。


なんだって「野老」が「ところ」になったのだ。と、グルグル調べてみたら、どうやら「野老」が「ところ」になったのではなくて、「ところ」という植物に「野老」の漢字が当てられた、ということのようです。
「ところ」っていう植物があるんですって。ヤマノイモ科の多年草で、たくさんの細い根が付くんですって。それが老人のヒゲのように見えることから「野老」と。海のヒゲが「海老」になった、みたいなことと思われます。



さて、組市松紋の新エンブレム。旧エンブレムと比べると、ずいぶんおとなしくなりましたね。「東京」の要素もなくなってしまいました。「TOKYO」へのこだわりが見えるデザインが希望ではあったけれど、東京イコール日本、ということなのだと思います。
これは所感ですが、東京で暮らしていた頃に「東京イコール日本」に疑念を持つことはなかったけれど、東京以外の日本で暮らしている今「東京イコール日本」の感覚は薄れました。「東京イコール東京」なんですよね。なんとなく。日本の良さ、と東京の良さ、もイコールとは感じないし。


でも開催国日本のエンブレムと思えば、新エンブレムもまたいいですよね。市松模様が「紋」になって、色も藍色で統一。オリンピックにつきものの、スピード感、力強さ、躍動感はないと思うけれど、日本お得意の「おもてなしのこころ」感が発揮されたデザインのように見えます。どのような国の、どのような文化の、どうのような思想の人間でも受け入れてくれそうな、この控えめなエンブレムは、日本っぽいのかな、と思ったりしています。考えてみれば、スピード感やなんやかやのスポーツ要素は、だまっていても選手が持ってきてくれるのですから、エンブレムに与える必要はないのかもしれません。


ちなみに旧エンブレムも、その疑惑問題を別にすれば、わたしはわりと好きだったのです。でもパラリンピックと対で、新旧を比較した場合には、ああこれは新エンブレムの勝ちだなと思いました。
旧エンブレムは白黒をチェンジしただけなのですが、新エンブレムは市松模様を作っている四角の数が同じ、というだけでなく、角度も同じなのですって。オリンピックの45個ある四角形のうち、31個を角度を変えないまま移動させるとパラリンピックのエンブレムになるのですって。
オリンピックとパラリンピックの融合という未来を考えたとき、白黒チェンジだけの発想では頼りない気がしますが、新エンブレムはその点において心強いデザインになっているなと思いました。


外国からのお客様が皆、日本に来てよかったと思ってもらえる4年後になってほしいと思います。わたしはきっと家でぐうたらしているだけですけれど。