文房具の試験


「明日は朝、銀色珈琲に行って試験勉強をします」


と、クラゲが言います。
銀色珈琲とは、休日の朝によく行く喫茶店のことです。
外観も店内もギラギラ銀色に光って、はいません。むしろ茶系で落ち着いた色合いのお店です。


ああ、そうですか。試験勉強ですか。ではそのようにしてくださいと思いつつ、「なんの試験?」と尋ねると、「文房具の試験です。」と言います。


「文房具の試験?」
「はい、そうです。」
「なにそれ。」
「ですから、文房具の試験です。」


それではよくわからないので、「どんな問題が出るの?」とアライグマは尋ねました。


「んー。文房具に関する問題です。」と答えるクラゲは、試験について多くを語りたくないご様子。しかしわたしは一歩も引きません。
「たとえば?」
「んー。」
「なにか1つ、問題出してよ。」と。


そして、しばし考えたクラゲに出題されたのが「HB と 2B はどちらが硬いか。」


あーあったなーそれ。何度聞いてもどっちがどっちだか忘れちゃうんだよなぁ。どっちだっけなー。と、出題を迫ったことを今さら後悔。頭を悩ませるわたしに「基本中の基本です。」とプレッシャーをかけてきます。むむむー。ぜったいに間違えたくありません。


「HB!」
「ピンポンピンポーン!」
「やったー!」


よかったー。と胸をなでおろすアライグマ。
鉛筆を使っていたあの頃を懐かしく思いましたので「へー、そんな問題が出るんだぁ」と、ノスタルジーも込めて言うと、
「出ないよ。」だって。



。。。。。なによ!うそつき!!



どんな試験だったのか、わからず仕舞いです。ちっ。