膝蓋骨脱臼骨折の記録3 <負傷時/病院到着>


病院に到着。


まずは診察台の上に移動します。覚えていませんが、担架に乗せてもらうときに使った毛布がそのまま身体の下に敷かれてあったので、このときも毛布ごと持ち上げてもらって移動したと思います。ベッドの周りには3人くらい(内ひとりは女性でした)のお医者さんがいました。20代〜30代の若い人ばかりでした。


身体の「ぶるぶるがくがく」はまだ治まっていません。


「寒いですか」と訊かれたので、「寒くはないですけど震えてしまいます」と答えました。救急車の中で同じ受け答えをしたときに「これはよくある症状ですか」と隊員の方に尋ねたら「大丈夫ですよ」と返事をもらったのですが、わたしは大丈夫かどうかではなく、よくある症状なのかどうかが知りたかった(もっと言えば何が原因で震えているのか知りたかった)ので、もう一度「よくある症状ですか」と訊いたのですが、ここでも「大丈夫ですよ」と言われました。わたしは隊員さんやお医者さんの様子から「よくある症状ではないけれど、人によってはそうなることもある。でも大きな問題ではない」のだろうと思うことにしました。ただ女性のお医者さんが笑顔を向けて「もう大丈夫ですからね、ここ病院なので」と震えているわたしの手をやさしく強く握ってくれたので、わたしがぶるぶるがくがく震えているのは精神的なものなのだろうと思い、質問を重ねるのはやめました。


負傷時のこと、過去の怪我のことなど、救急隊員の方が質問してくださったことと、だいたい同じことを訊かれたと思います。この頃になってようやく身体の震えが徐々に治まってきました。
ひととおり怪我に関するやりとりが終わると、「いずれにしても整形外科の診療なので、ちょっとお時間いただきます。」と言われました。


整形外科だとなぜ時間がかかるのかわからなかったのですが、整形外科のお医者さんがこの場にいなくて、今から呼ぶ。ということだったとあとから気がつきました。自分のしょーもない不注意で夜中の1時に人を呼びつけるだなんて、かなり情けない気持ちになりました。本当にすみませんでした。


なので、やはりそれなりに時間はかかりました。どれくらい待ったかな。でも1時間もかかっていないのではないかと思います。その間に身体の震えは完全になくなりました。


来てくださったのは、とっても柔和な雰囲気の若いお医者さんでした。


「夜遅くに大変でしたね。よくがんばりましたね。」と。まずそう声を掛けてくださいました。その一言でどんなに安心したことか。
「安心」って、ふだん意識する感情ではないけれど、このときばかりは強く思いましたね。安心は大事だと。なぜならば、気持ちが前に向かいます。


つづく。