コアラ君の目は白黒、シフォンちゃんはカラー


ピアチェーレのFAX機が新しくなりました。


食材の発注をFAXで送ることが多いのでキッチンスタッフもよく使うのですが、彼らは一様に機械に弱い。という振りをして、実はただただ、理解するのがめんどくさいのだろう、とわたしは思っています。操作方法を、こうかな、ああかな、と考えたくないし、試したくもない。ここを押すとこれができます。こっちを押すとそれができます。という解答だけをほしがる。ちょっと間違えたりわからなかったりすると、いっきにやる気をなくす。


手のかかる人たちなんです、彼ら。


電話も兼ねているFAX機なのでホールに置いてあり、キッチンから見える位置にはありません。だから操作方法を教えるときも、本体を前に説明することができません。「説明するので本体の前まで来てください」と言ったら「じゃあいいです、たぶんわかります」みたいな返事になることも予想できます。それならほっとけばいいし、実際ほっといても、いまどきFAX送るくらい、誰だってできます。まして料理作ってる人にできないはずがないのです。とわかってはいるものの、自分が知っていることを質問されて、ひとたび説明をしたなら、ちゃんと理解させたいと思ってしまうのです。自分の説明で相手がちゃんと理解できたことが確認できないと不安なのです。って、考えようによっては、いちばん手のかかるのはわたしか。まあいいや。


で、写真を撮ったんです。新しくやってきたFAX機の操作盤のところを、わたしの10年来の携帯電話シフォンちゃんでパシャリ、と。これで画面説明ができます。


キッチンに顔を出して「コアラくん、」と呼びかけると、「はーい、」と声だけ返ってきて、顔はこちらを向いていません。キッチン台にシフォンちゃんの画面を置いて「ちょっと説明したいんですけど、」と言うと、「いいっすよ、ちゃんと聞いてますから」と、顔はあっちを向いたまま。いやいや、と思いながら「あの、これ見てもらっていいですか」と言ったらようやく振り向いたけど、シフォンちゃんにはまだ気がつかず。そして「なんすか」と早くもめんどくさそうな顔つき。「写真撮ったんです、FAX機の。」で、はじめてコアラ君はキッチン台の上のシフォンちゃんに気がつきました。「おお!めっちゃかしこいじゃないですか!」と言うので、ああよかった、これでわたしの説明もわかってもらえそうだと安心してたら、コアラ君はシフォンちゃんの画面をじっとのぞきこんで「白黒ですか?」って。


。。。。。。



失礼な。どうみてもカラーでしょうよ。(どうみてもカラーなんです)



コアラ君はシフォンちゃんの小さい画面に顔を寄せてわたしの説明を真面目に聞いてくれました。そして操作方法も理解してくれたようでした。でもあんなにじっとのぞき込んでいたのに、シフォンちゃんのことはいつまでも白黒だと言いたいようでした。



シフォンちゃんはカラーです。