ヴィテッロ君の名札


ヴィテッロ君に渡すものがあったので、トレーの上に乗せて、キッチン台に置きました。キッチン台の前は誰もが通る場所なので、他の誰かが間違えて持って行かないように、「Vitello君」と名前を書いたポストイットを貼り付けておきました。


キッチン台から少し離れた場所で作業中のヴィテッロ君に「ここにおきますね」と声をかけると、ヴィテッロ君はすぐに手を止めて、こちらまで来てくれました。


「あ、ありがとうございます。ん?これなんですか」とポストイットに気がついた様子。



「それ、名前です。ヴィテッロ君。」

「ぼく、ヴィテッロなんですか?」

「そうです、ヴィテッロ君です。」

「え、いいんですか?そんなにいい名前をぼくがもらって。」

「あ、よかった。気に入ってもらえました?」

「めちゃめちゃかっこいいじゃないですか。」



よかったよかったと思いながらわたしも自分の仕事に戻って、それからしばらくのち、またキッチンに顔を出すと、なんとヴィテッロ君、さっきのポストイットを自分のコックコートの左胸に貼り付けているではありませんか。



名札になっている!!



こんなに気に入ってもらえるなんてね。うれしいです。ちなみにVitelloは、イタリア語で「仔牛」。