“君に届け(2)”椎名軽穂
- 作者: 椎名軽穂
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/09/25
- メディア: コミック
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主人公の女子高生、黒沼爽子(クロヌマサワコ)は、明るくて素直で感動屋さんだけれど、見た目が陰気で、小学生のときから「貞子」と渾名されて、いつもひとりぼっち。ともだちもほぼゼロ。
その爽子ちゃんの前に現れるのですね、少女漫画のファンタジスタ、風早くん。
誰とでも分け隔てなく接することのできる気さくな性格と、どこまでも爽やかな笑顔で、クラスでも、隣のクラスでも、そのまた隣のクラスでも、さらにはその隣の理科室と音楽室と茶道室も難なく飛び越えて、その先のクラスでも、人望厚く、揺ぎない人気を誇る風早くんが、なぜか爽子に近づくのです。なぜか、ってまあ、好きだからなんだけれど。
ずっとひとりぼっちだった爽子は、人気者の風早くんが「自分なんか」に話しかけてくれたり、笑いかけてくれたり、優しくしてくれたりすることに感謝と感動を感じていて、風早くんに強い「憧れ」を抱くようになります。
なので、ほっといてもくっつくふたりです。まだくっついていない要因にもなっているふたりの純粋さが、大変微笑ましい作品です。
2巻は、風早くんをきっかけにして爽子が仲良くなったクラスメートの女の子、矢野と吉田との友情がメイン。矢野と吉田に関する「悪い噂」が流れて、その噂を流しているのがほかでもない爽子である、というところまで含めた「噂」。もちろん陰謀なんだけど。
この噂は「陰謀」だし、これは「少女漫画」だし、これは「よくあるパターン」だから、矢野と吉田の疑いは解かれ、三人の仲はより一層深まり、めでたしめでたしとなる。
とわかっていても、爽子ちゃんが矢野と吉田の「悪い噂」を、それは誤解だと一生懸命に訴えるところは、やはりとてもいじらしく、こみ上げるものがあります。よい漫画でござる。