わたしは女性


不思議で不思議でしかたありません。


レストランの入り口に立っていると、よく来てくださるお客様がいらっしゃいました。いつもは予約をしてくださる方なので、今日は予約なしで立ち寄ってくださったのかなと思いながら「こんにちは。あれ、今日は。。。」というような声をかけると、お客様のほうが驚いて、「え、予約したはずよ」と言います。こちらはもっと驚きます。しかも、電話は女性が出た、と言います。



女性?



誰だろ、って思うまでもありません。この店に女性はわたししかいません。



わたしっ!!??



いやいやいや。そんなはずない。と、自分では必死に否定します。
よく知っているお客様なのです。名前を聞かなくても、声だけでもその人だとわかるくらいよく知っているお客様なのです。電話番号も聞かないくらい、よく来てくださっている方なのです。でもわたし、今日このお客様からの電話を受けたりしていないのです。
たとえば電話に出て、予約をとって、でもその瞬間があまりに忙しくて予約帳に書かなかったがために、予約を受けたことをうっかり忘れてしまう、という可能性はあります。でもそれなら、お客様が来店された時点で思い出します。あ!しまった!!と。


でも、ちっとも「しまった!!」ってなんて思わなかったし、どんなに記憶をたどっても今日このお客様と電話で話した覚えはありません。今年最初のご来店ですから、電話でも間違いなく「本年もよろしくお願いします」と言っているはずなのです。でも、そういうやりとりも絶対にしていないのです。


お客様が発信履歴として見せてくれた携帯画面に表示されていた数字も、間違いなくピアチェーレの番号で。



やだー。わたし、記憶障害かな。やだやだこわいよー。




わたし、女性だよね?