【絶体絶命】RADWIMPS(6th ALBUM)

2011年の最初にシングル曲『DADA』が発売されました。続く2月に同じくシングル曲『狭心症』が、3月にはアルバム『絶体絶命』がリリースされました。そして4月下旬から始まった「絶体延命」ツアー。名古屋でわたしも参加します。チケット、抽選で当ったの。すごく楽しみです。

そのライヴを目前にしての感想文。

ライヴに行く前と後とじゃ、曲の感想変わっちゃうかもしれないので、今のうちにはやくはやく。と、逸る気持ちに冷静さを押し戻すようにしながら書いています。



では、いつも通り一曲目から順番に。



1.DADA[dadadada.Ver.]

まさかこんなに繰り返し聴くことになろうとは思っていなかった一曲です。わたしは気に入った曲は気が済むまで「一曲リピート」で聴き続けるのですが、「DADA」は「一曲リピート」のレーンに乗せられたことのないタイプの曲だったので、わりと早い段階でそのレーンからは抜けるだろうと思っていました。それが気がつけばシングルとアルバム合わせて再生回数は240回にのぼっています。何度聴いても楽しいです。ライヴの1曲目はきっとこの曲だと思うと、もう観客席で舞台を見つめているような気持ちになります。


2.透明人間18号

メインメロディに寄り添ったベースが大人っぽくて落ち着いてるのに比べて、ギターは相変わらずやんちゃだなぁと思っていたら、曲が先に進むにつれて、いつのまにかギターがベースの年齢を追い越してしまったかのような音を耳にして驚きます。落ち着きというよりは、余裕、でしょうか。「最初からオレのほうがオトナだったんだぜ」と訳知り顔で言っているみたいに。やんちゃで手のかかって仕方なかった兄と、小さい頃から真面目で優しい弟は、しかし自分の領分はきちんとわきまえているからこその、なかよし。
このアルバムの中ではわたしの好きな曲ベスト3に入ります。ライヴで聴いたら、めいっぱい、体の中に吸い込んできます。


3.君と羊と青

こういうアップテンポで、詞も速いスピードで回っていく曲は、聴いている側は無責任にノリに乗っていればいいけれど、乗せる側はいっそう丁寧である必要に迫られるのだろうなと思うのです。が、その難しさを軽々と飛び越えてくれているこの気持ち良さったらもう。いくらでもノッてはしゃいでいられます。


4.だいだらぼっち

休憩です。別のシチュエーションで耳にしたらどうかわからないけれど、「君と羊と青」と「学芸会」の間にはさまれている限り、ギターのアコースティックな響きにたどり着く前に、わたしは飛ばしてしまいます。おかげでこの曲だけ再生回数が落ち込んでいます。


5. 学芸会

ギターが好き。好き好き。
歌のメロディや歌詞は「ああ、そうね。」という感想以上にはなりにくいのだけど、ギターのかっこよさったらないです。歌詞の中に出てくる「少年D」以上にピエロを演じられて、そうして「少年D」を主人公に押し上げていて、その上で「少年D」よりも心に強く残ります。


6.狭心症

わたしはこの曲を無条件に受け入れられませんでした。この曲を無条件に受け取れるほど、わたしはまだRADWIMPSを信頼してはいないのだな、と思うことになった曲です。


7.グラウンドゼロ

どれだけ後ろ向きに 歩いてみても未来に
向かってってしまうんだ 希望を持たされてしまうんだ
手渡されたそいつをただ 投げ捨ててみたところでまた
空になったその手に次の 未来渡されてしまうんだから

ってこんなこと言う人だっけ、野田君。藤原君ならわかるけれど。と好きなふたりのアーティストに対して失礼なことを思っていたのですが、最後まで聴いたら全然違いました。わたしは藤原君の持っている世界観に心を揺さぶられないわけにはいかないけれど、未来を「大事に使ってみせる」と言える野田君の支持者です。


8.π

ことばあそびのように韻を楽しんでいる曲です。わたしは音楽の中で歌詞が韻を踏むことの心地よさを最初に意識したのはMr.Childrenだったなぁと、ふと思い出しました。ミスチルの韻は、今聴いても心地よくなれないのだけれど、RADの韻は楽しいです。


9.G行為

ふだん(じゃなくても、いつでも)わたしが口にはしない日本語のオンパレードです。耳にしてはいけないような気持ちにさせられる一方で、音楽はそれを上回ってわたしの高揚を頂点へといざないます。すっごく楽しいです、わたし。同じ日本語をふだん口にできるような人になっていたら、わたしの人生ずいぶん違っただろうなと思います。どっちの人生をとるかと言われたら、ちょっと迷います。


10.DUGOUT

KinkiKidsの歌っていたどれかに似たような曲があったような気がするのだけど、今のところ賛同者はいません。あたりまえか。
しかし、ひとたびそう思ってしまったわたしはとり憑かれてしまって、頭の中の映像は、ミュージシャン4人ではなく王子サマ2人の顔が映し出されてしまいます。どっちがどの部分を歌って、どこでハモるかというところまで考えながら聴くようになってしまいました。ああ、王子サマ。ああ、ミュージシャン。


11.ものもらい

わたしにとってはこのアルバムの中でいちばん、「歌」が主役になっている曲です。
ギターの旋律に耳を澄ましても、底にあるベースラインを追っていても、いつのまにかわたしが聴いているのは歌声になっていて、いけないいけないと、また楽器の音を探し始めるのですが、気がついたときにはまた歌を聴いています。

自分以外の誰かを100%肯定することは、わたしにはできないし、したいとも思わないのだけれど、でもこの世界にそれができる人がいるということは、わたしを感動させることではあります。たとえそれが歌の中のことだけだとしても、そういう心がこの世界のどこかにあるなら、いつも近くで触れていたいと思います。


12.携帯電話[Cat Ver.]

「ものもらい」の余韻に浸っているところにこの曲のイントロが流れてくると、ちょっとムカつきます。ドラマ「やまとなでしこ」のラストシーンで、ななちゃん演じる神野桜子が、堤真一演じる中原欧介に向かって「残念ながら私はあなたといると幸せなんです」と告白をする、まさにこのドラマのクライマックスで、ミッキーマウスマーチが流れてくるみたいにムカつきます。バカにしてんの??この曲がアルバムの中に入るなら、「マニフェスト」入れてくれてもよかったのに。むん。


13.億万笑者

14曲も収録されたアルバムの12曲目までの音楽の力量を考えれば、もうこのあたりでスタミナ不足を感じてもおかしくないと思うのだけれど、そんなことにはなっていませんでした。13曲目もまだまだパワフルです。

手に入れるんだあなたとは もっと違う笑い方を
僕は

わたしだったらどんな笑い方を手に入れるだろう。



14.救世主

歌詞だけ見て、いい詞だなぁとはわたしは思いませんでした。ざらざらとしたすきま風のように胸に入り込んでくるだけです。でも歌で聴くと、いい詞だなぁと思います。とても心地よく胸に響きます。
「絶体絶命」というタイトルをつけたアルバムの最後が「救世主」というタイトルの曲で、そのアルバムツアーのタイトルが「絶体延命」だっていうんだから、このアルバムはライヴ聴くまで終わらないんだなという気がします。




絶体絶命(初回生産限定仕様)

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