<スティング>監督:ジョージ・ロイ・ヒル 脚本:デイヴィッド・S・ウォード


オープニングの映像からすでに、名作の香りが漂ってきました。


師匠をギャングに殺された若い詐欺師が、伝説の賭博師と協力して、ギャングの親玉をぎゃふんといわせるお話。


最後は絶対うまくいく、ということが知らなくてもわかる映画です。その安心のもとでドキドキワクワクできる、気持ちのいい名作です。その安心感を生み出すのに、主題歌の「ジ・エンターテイナー」の果した役割は非常に大きいと思います。あと個人的には、登場人物が全員犯罪者なのもよかったのだと思います。善良な市民が混ざっちゃうと、犯罪者を犯罪者として認識しなければいけなくなって、詐欺が成功しても単純に喜べないのです。でも、犯罪者同士なら遠慮はいりません。いけー!やれー!そこだー!と、応援できます。


伝説の賭博師を演じるポール・ニューマンが素敵でした。最初の登場シーンで「うわ。素敵な人が出てきた」と思ったら、それがポール・ニューマンでした。そうかそうか、これがポール・ニューマンなのか。


作業服を着ていたり、スーツに身を包んだり、泥酔を装ったり、タキシードでキメたりと、映画の中で様々な状況を演じているのですが、どんな服装をしても、どんな態度をとっても、常に「紳士」でしたね。比較の対象として相応しいかはわかりませんが、これがたとえばショーン・ペンなら、もっと悪人だし、もっと飲んだくれだし、もっと落ちぶれだし、もっと鋭利になるのだろうなぁと思うのです。でもポール・ニューマンは何があっても「紳士」という感じがします。素敵です。


ちなみにわたしは、ギャングのボス、ロネガン(ロバート・ショウ)とゴンドーフ(ポール・ニューマン)がポーカーをするシーンで、ゴンドーフが手元のカードをおなかのところに当てて、ちらっと見るときの表情としぐさがとても好きです。



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