ポール・オースター


今、ポール・オースターの『オラクル・ナイト』を読んでいます。



ポール・オースターの作品と最初に出会ったのは大学生(たぶん4年生)のときで、そのとき読んだのは『ムーン・パレス』あるいは『偶然の音楽』だったと思います。どっちが先だったか思い出せません。でも、どちらもわたしの記憶の底に静かにとどまり続ける作品となりました。わたしはそれからずっとポール・オースターが好きだと言い続けてきました。



でも今、言い方を変えます。



ポール・オースターは、わたしが一番好きな現代作家です。



『オラクル・ナイト』を『ムーン・パレス』よりも好きだと思うかどうかはわかりません。わたしはまだ、読み終えてさえいないのです。でも、『ムーン・パレス』を読んで、『偶然の音楽』を読んで、その他にもいろいろ読んで、今『オラクル・ナイト』を読んでいる途中で、わたしはこれらの作品を書いた人を、今までに読んだことのあるどの現代作家よりも好きだと感じました。ただ原書で読んでいるわけではなく、どの作品も柴田元幸訳を読んでいることはやはり書いておかなければいけないでしょう。柴田元幸訳でなくてもわたしはきっとポール・オースターが好き、などと言うつもりはありません。柴田元幸訳でないポール・オースターをわたしは読んだことがない(存在するのかも知らない)のでわかりません。でも現代作家で誰が一番好きかと聞かれたら、これからはもう迷わず、ポール・オースターと答えます。



誰かを好きだと確信できるのは、いつもとても記念的な出来事です。




オラクル・ナイト

オラクル・ナイト