膝蓋骨脱臼骨折の記録4 ＜負傷時/レントゲン撮影＞

整形外科のお医者さんが来てくれて、身体のぶるぶるがくがくも治まって、ひと安心。

でもここから戦いが始まります。痛みとの戦いです。負傷したときも痛かったけれど、それに劣らない痛みが待っていました。どれがいちばん痛かった？って聞かれるけれど、どれもこれも痛いです。どれくらい痛かった？とも聞かれるけれど、わたしの精一杯の表現で言えるのは「自分の意志で自分には与えられない痛み」です。

まず、レントゲンを撮ります。レントゲン室まではベッドをそのままガラガラと運んでもらえます。でもそのあとは、ベッドからレントゲン台の上に移動しなければなりません。

わたしの左足は1cmでも動かしたら痛いという状態でした。ベッドを移動してもらうときの振動でさえ痛かったのです。その足を携えてベッドからレントゲン台に移動しなければならない。さあどうしようかと、頭の中で自分の身体と相談しながらもぞもぞ動いてみたら、レントゲン技師さんが移動を手伝おうとして、わたしの足を不用意に持ち上げたのには悲鳴をあげました。痛みにも驚いたけれど、1cmでも動かされたら激痛が走る状態の身体の扱い方を知らない人だということが、足を持たれた瞬間にわかったので、そのための拒否反応の分、声も大きくなりました。
どうやって移動したのだったか、たしか先にお尻だけ（そーっとそーっと）台にスライドさせて、元気な右足で（ちょっとずつちょっとずつ）ベッドを押しのけながら、（懸命に）左足も台へスライドさせた、だと思います。周りにお医者さんも技師さんもいてくれますが、身体（の一部）を持ってもらうことはありませんでした。人にやってもらうより、自分でやったほうが痛みは抑えられるものだと思いました。

次は撮影です。これがまたつらい。痛い。もういやだ。

膝のレントゲン撮影は、撮影に適した膝の角度を求められるのです。伸ばしてくださいとか、曲げてくださいとか言われて、だいたいのポーズが決まったあと技師さんの手で微調整が加わります。
たびたび申し上げますが、わたしの左足は1cmでも動かすと痛いのです。激痛なのです。それを「もうちょっと曲げて」とか言われても無理なんです。技師さんが手軽にしてくる「微調整」も激痛なんです。わたしが「痛い痛い痛いっ」と叫び声を上げるので、技師さんもお医者さんも途方に暮れた顔をしていました。でも痛くて無理なんです。

という中で必死に痛みをこらえて、なんとか診断材料に足る写真が撮れたのだと思います。レントゲン台からベッドに移って（さっきと逆をやりました）、また元の場所まで運んでもらいました。

しばらくお待ちください。