明日のタツコさん


「明日ね、」


タツコさんが言います。


「食事の約束をしてたんだけど、断られちゃったの」

「あら。」

「虫歯になっちゃったんだって。だから日を改めることになったの。」

「お店の予約もキャンセル?」

「いや、別の人を探そうと思ってるの。」

「誰か見つかりそうなの?」

「まあ、誰もいなかったら、ダレダレを誘えばいいから、別に問題ないんだけど。」

「そのダレダレさんは、行けるの?」

「大丈夫大丈夫、予定が入ってなければ。」

「いや、だからさ。その予定が入っているかどうかということが肝心でしょ。」

「大丈夫でしょ、めったに予定なんて入ってないんだから。」

「ずいぶんな言われようだね。かわいそうに。」


と話しながら、ピ、ポ、パ、と電話をかけたタツコさん。


「あ、もしもし。明日なんか予定ある?」
「それ、何時から?」
「あら、じゃあダメだわ。はーい。」


と、電話を切ったタツコさん。


「ダメだったわ。めずらしい。」


。。。。。。。





わたしは、わたしの母が好きです。