魔女


通勤中の電車待ちのホームで、おばあちゃんに声をかけられました。


内容は、どこどこに行くのに、この電車であっているかという、特筆することもないよくある質問だったのですが、おばあちゃんが印象的で。




人懐っこい、かわいい女性だったんです。




この電車で一駅です、と教えたら、田舎者だから全然わからないわと言いながら、わたしの肩をポンポンと叩きました。




見ず知らずの人間に、なんの緊張もなく、そよ風みたいにふわっと自然に入ってきたおばあちゃんに、わたしは少しドキリとしました。おばあちゃんにはただただ日常的な振る舞いだったのかもしれないけれど、ああいうのは、武器ですよね。うん。



歳をとって、世の中の流れについていけなくなっても、あのかわいさがあれば、どこに行っても、何をするにも、きっと困ることはないと思う。



ああいうのを目指せばいいんだ、しめしめ。