メールをします


カスターニャ君が、旅立っていきました。退職です。勤務最終日はわたし、おやすみだったんです。だから前日に「おつかれさまー」「きをつけてねー」「またねー」と言って、別れを惜しみました。


そのカスターニャ君が、ピアチェーレ最後の日に、最後に作ったデザート。





わたしへの、ホワイトデー。



いえーい。やったー。おいしそー。



お礼を言いたいけれど、旅立ったあとで言えずじまい。誰かに聞けば電話番号くらいわかるけれど、誰かから聞いた連絡先に宛ててお礼言うのもなー。と思ってそのままにしていたのですが、会社から送る書類があることを知って、マルタリアーティさんに、お願いしました。


「カスターニャ君に作ってもらったタルトのお礼が言いたくて、小さなカードを同封させてもらえないですか?」


マルタリアーティさん、ふたつ返事で、いいよいいよ。


お礼のメッセージとわたしの連絡先を書いて、送りました。レスポンスあるといいなーと思ってはいたけれど、しばらくなにもなくて。
そしたら、すっかり忘れた頃に、カスターニャ君ではなくて、カスターニャ君の仕事を引き継いだカペサンテ君から伝言が届きました。


「カスターニャさんが、uubさんの電話にもアドレスにもつながらないって言ってますよ」と。




。。。。。




そして、そんなときだけ聞き耳立ててるコアラ君が「シフォンちゃんですかー?」と、すでにケラケラ笑っています。



むむむ。



原因がわからないので、カペサンテ君からカスターニャ君に、もう一度、わたしの電話番号を送ってもらいました。ショートメールちょーだい、と。そしたらその夜に無事、カスターニャ君から連絡あったんです。よかったー、と思いながらやり取りしてたら、



「uubさん、LINEはしないんですか?」と。



。。。。




カスターニャ君よ。ピアチェーレのキッチンで、キミがいたあのキッチンで、わたしのシフォンちゃんはあんなにもさんざんみんなの笑い者にされていたというのに。そしてキミも笑っていたくせに、カスターニャ君よ、なぜ知らない。シフォンちゃんが、かれこれ10年来の逸材であることを。





なるほど、電話がつながらない、というのは、LINEができなかった、という意味だったのですね。できませんよ、そんなもの。




コアラ君にその話をしたら、「シフォンちゃんを写真に撮って送ってやったらいいです!!」って、勇ましくゆってくれたから、そうだよね、シフォンちゃんを見せつけてやればいいんだ、そうだそうだ!ってなんだか、すごくうれしくなっちゃって。でもよく考えてみたら、




ちっとも褒められてない。なんでわたしは喜んだのか。驚くよ、ほんと。




カスターニャ君、キミに会いに行くときは、メールをします。